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2019年8月16日金曜日

『君の名は。』は、『災害をなかった事にする映画』ではない。

ちょっと思うところがあったので、突発的に少し書いておきたい事があります。

同じ作品を見ても、好意的に感じたり、批判的に感じたり、受け取り方は人それぞれ何だなぁということを改めて感じました。
観てよかった、感動した、と言う人がいる反面、見るに堪えない、ダメだわこれ、的なことを言う人もいるわけです。

映画を批判するということは、まず、自分の意志でお金を払って、自分が映画館に足を運び、わざわざ観に行く、というアクションがあって、その映画が、自分が期待していたものではなかった、とか、自分の主義主張と違っていた、とか、そういう気持ちになってしまったということですよね。
批判する原因は人それぞれ、色々あろうかと思います。

一旦批判的な思考に入ってしまったら、『あ、これダメなやつだわ』な目線で見てしまうので、何から何まで気に入らなくなってしまうのでしょうか。

それとも、理解力とか想像力不足で、表面的な部分しか理解できずに短絡的に非難してしまうのでしょうか。

理解力とか想像力、考え方や捉え方は人それぞれです。
なので、自分では思ってもみなかった捉え方による批判があって当然だし、その意見もありうるな、と納得してみたりもするわけです。
考えうる意見だと思うし、納得はするけれども、一概にそうとも言えないんじゃないかな?みたいな。

『君の名は。』は、『災害をなかった事にする映画』でも『死人を蘇らせる映画』でもなくて、『未来を変える』、『未来を切り拓く』映画だと思うからです。

そんな記事です。


どうして突然こんな事を書き出したのかといいますと、先日『天気の子』を観てきたので、ネットに数多くある、いわゆるネタバレ記事や、公開にあたっての特集記事なんかをこれでやっと読めるわ、と言う感じでなんとなく読んでいたのです。
その中に、新海監督へのインタビュー記事があって、そこで監督が言っていたのが、『君の名は。』公開後に、批判的な意見をもらって、ショックを受けた、というもの。
小説『天気の子』のあとがきにも、『君の名は。』の公開後にディスられた、と書いてありました。

監督がショックを受けたのが、『災害をなかった事にする映画だ』『何の代償もなしに死人を生き返らせる映画だ』といった感じの意見だったそうです。

私も、そういった見方があるということに全く気づきませんでした。

たしかに、解釈によっては過去を変えているわけですから、都合が悪いことはなかったことにする、ということになるんでしょうかね。
自分では思いも寄らない考え方だったので、どういう気持ちで見るとそんな感想を持つのかは理解できないんですが、言われてみるとそういう見方もできないわけじゃない。

いったん『これダメなやつだわ』な状態に入ってしまうと、それ以上物語を深く理解しようとはしませんから、もうだめなイメージしかないですよね。そういうことなんでしょうかね。まさに負のスパイラル。

多分そんな感想を持ってしまうのは、現実世界では大きな災害があって、大勢の人がなくなっていて、救われない人々がたくさんいたわけですよね。
実際には防げない、巻き戻せない、生き返らない災害を『なかったことにする』というストーリーは、たとえ映画の中の話だとしても、嫌悪感を持ってしまう。
そういう人がいても不思議じゃない気もします。

そんな批判に対する監督のコメントは、『君の名は。』は未来を変える話であり、強い願いを形にするとこうなるであろうという話を作ったつもりだったので、ショックを受けた、といった内容だったと思います。

『自分たちで未来を変える』のか、『過去を変えてしまった』のかは意見が分かれるところだと思います。

三葉目線で見ると、自分に宿った宮水の巫女の力で、未来を生きる少年と夢の中で入れ替わり、避けられない災害の後、その少年が未来から災害発生前にやって来ることにより災害を未然に知って、多くの人々を救う、という『未来を変える』話です。

これが瀧目線になると、過去の世界で知り合った少女、そしてその少女に関わる人々を災害から救うために過去に飛び、災害を事前に知らせて、本来犠牲になるはずの人が犠牲にならない歴史を作って『過去を変えてしまった』話、とも受け取れそうです。

でも、瀧目線で見ても、『自分の未来を変える』話だと思うのです。

自分も入れ替わりを通じて、過去のあの場所にいたのですから。
そして、三葉と未来で出会うためには彗星の落下から守らないといけない。
『過去を変えた』のではなく、『自分の未来を切り拓いた』、という捉え方もできませんか?

彗星の落下は防げない自然災害。地震や津波、台風も防げない災害です。
では、その防げない災害にどう向き合うのか。

重いテーマですが、もし、奇跡的に人的被害が出なかった災害があったとして、可能性の一つとして、そんな話があってもいいのではないかな、と思います。
避けられないものからは逃げるしかない、ということも言えるのではないでしょうか。

前述の、『災害をなかった事にする映画だ』と言う批判にショックを受けた、というインタビュー記事のなかで、新海監督が、『天気の子』を制作するにあたって、『君の名は。』をディスった人たちがさらに批判してくるような作品を作ろうと思った、というようなコメントを。なるほどなあと思いました。ブレてないなあと思いました。

と、色々書いてしまいましたが、この物語は、一番単純な解釈をすれば、時空を越えた二人の恋の物語、なんですけどねぇ。
当たり前ですが、好きな人が見ると、本当にいい作品なんですよね。

『君の名は。』は、『災害をなかった事にする映画』ではない。
と強く願いたいと思います。

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